パソコンの価格崩壊がすさまじい。こんなにも安くていいのかと思ってしまう。
さて、パソコンのCPUだが、昔の面影が感じられないほどに処理が速くなっている。みなさんは具体的に、どうして速いのか、考えたことはあるだろうか。
コア数が増えた?
うむ、それは間違いない。しかし、CPUそのもののサイズはほとんど変わっていない。つまりは、デュアルコアならば、コアの面積が単純に半分に収まっている、ということになる。これがCoreシリーズ、いや、Pentiumなんかにも通ずるIntelの手法だ。
結論から言うと、「チップを微細化することで、速度を向上させている」
ハイパースレッディングとかの話もあるが、ここでは論理回路ではなく、回路そのものを物理的にみてみようと思う。
重要になるのは、電流とは何か、という話だ。
もちろん、電流とは「電子の流れ」に相違ない。ということは、電子という"物質"が走っているわけだ。回路がつながっていても、うまく走ってくれない場合がある、と考えるのは妥当だろう。そもそも、ゴムをつなげても電流は流れない。
ではここで、単純明快な回路を考えてみよう。
「電池→豆電球→」でループするだけの回路を想像してみてくれ。
(時間がなくて、こんな図すら用意できません。気合で読んで。)
さて、この回路を2つ作る。
片方は、机の上で作れるサイズ。数値でいえば、30cm分の銅線を利用した。
もう一方は、極端に大きい。太陽から地球までの距離の分の銅線を利用した。
この両者のスイッチをONにしたとき、豆電球が光るまでに要する時間は等しいだろうか。
むろん、等しくない。小学校までなら同じことになってると思うが、中学以降なら物理の授業でやってるはずだ。電子にも速度がある。ということは、目的地までの距離が100倍ならば、所要時間も100倍になるはずだ。
このように、回路は短ければ短いほど、そのルーチンタイムは短くなる。
(当然、現実はここまで単純ではない)
要するに、小さければよいのだ。
こうして、CPUメーカー(特にIntel)は性能をメキメキとあげていくことになる。
「ムーアの法則」はここに誕生した。
しかし、大きな壁が次々と立ちはだかる。
まず一つ。「生産ラインの限界」だ。
それだけ小さいものを扱うときは、普通は専用の機械で丁寧に作るものだ。しかし、そんなことをしていては埒があかない。大量生産ラインを構築する必要がある。これが第一の関門だった。なにせ、前人未到の領域だったからだ。60nmアーキテクチャですら必死だったのに、とうとう40nmにまで精度があがることが要求された。
ただ、これはナノテクノロジーの技術革新が解決した。
しかしほっとしたのも束の間、次の問題がおこる。「表面反応」だ。
高校までの化学では、物質をマクロな系としてとらえる。つまり、ひとつの塊として扱っているのだ。これを「バルク」という。ただ、実際はその通りでない。高校でもその片鱗をうかがい知ることができる。不動態なんかは近いところにある。ある程度大きさを保っているうちは、全体の反応のうち、バルクとしての反応が帰するところが多い。けれども、小さくなればなるほど、表面反応の占める割合が無視できなくなってくる。具体的には、「電子のリーク」がある。電子は回路の表面において、勝手に漏れていってしまうのだ。
流す電流量を増やす、また、リークした電子が他回路に影響しないよう、配置に気をつけるなどで解決されると期待された。
ただ、ここでトドメがささる。
ついに、回路の小ささが限界点に達したのだ。
これが最大の難関。「原子の振る舞い」が人の手に負えなくなった。
Cu原子が横幅5つで構成された回路が存在する。これが今の限界。仮に、横幅が3つだとしよう。すると、機械も完全ではないから、どうしても横幅が2つになってしまったりする。このとき、電子はまともにその隙間を通過できない事象が発生する。あまり詳しくはないが、原子のもつ最外郭電子の相関的位置がよろしくないらしい。また、原子がふっと離れていってしまうこともある。はやいはなしが、量子力学の世界に突っ込んだ、ということだ。これが今の限界。
原子力も量子力学の分野に所属すると筆者は考えているが、やはり、今の科学では手に負えない領域らしい。
まぁ、それで物理的進化の打ち止めになって、論理的ハイパースピードシステムを考えなければならなくなった次第である。バンド帯を変更した、とか言ってたが、一般人たる筆者には理解に苦しむ点であった。というか、何より面白くない。講演聴いてて寝るかと思った。
現在、「表面反応」の分野はにわかに活気づいている。
期待したいと思う。
小型化には限界点が存在する。小型化、ということについて面白い問題がある。
解いてみて欲しい。
問)xy平面上において、全ての頂点が格子点である正五角形は存在しないことを証明せよ。
ヒント)汚い答案はさけるべし。小型化の考えがあれば、美しく解ける。具体的には、背理法を使う。
略解)
全ての頂点が格子点である正五角形が存在する、と仮定する。
頂点のひとつに注目する。
自分と隣接する頂点に向かうベクトルを考えると、そのベクトルは格子点から始まって格子点に終着するもの、である。
自分と隣接する2頂点の3点を頂点とする平行四辺形を描く。
ベクトルが平行であるから、残りの1頂点は格子点上に存在する。
これを5つ全ての頂点について考えると、
格子点の正五角形の内側に、もう一つ格子点の正五角形が描かれることになる。
これを繰り返すと、格子点の正五角形の内側には無限の格子点が存在しなければならない。
このようなことは起こりえないから、~は存在しない、とわかる。
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